3.なぜポリマーについて、平均分子量使うのか?

ポリマーの分子量は、平均分子量使うのか

ポリマーは、重合度が異なる分子の集まりとして存在しているため、それぞれ分子量が異なるので、平均分子量を用いる。

高分子の平均分子量を求めるには、希薄溶液をもちいる。これは、高分子間には強い相互作用が働いているからです。

希薄溶液の分類

順希薄溶液と濃厚溶液がある。

3.1平均分子量と分子量分布

平均分子量って?

高分子化合物は異なる分子量をもつ同族体の混合物であるから、その分子量は、平均値となり、これを平均分子量と呼びます。

分子量分布って?

身の回りの高分子が重合度の異なる高分子の同族体の混合物からできていることから生じる分子量の広がりのことです。

平均分子量の分類

数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、z平均分子量Mz、粘度平均分子量Mvがある。

平均分子量の間には、MnMvMwMzの関係が成り立つ

ここで、 MnMw の値は分子量分布の広さの尺度で、1に近いほど、狭く、1より小さいほど、広がっている

 

また、Mn =Mv=Mw=Mzのポリマーを均一ポリマー、単分散ポリマーとよぶ。

それ以外のポリマーを不均一ポリマー、多分散ポリマーとよぶ

3.2平均分子量の測定法

浸透圧法、蒸気圧浸透法、光散乱法、粘度法、ゲル浸透クロマトグラフィーの5種類紹介する。

浸透圧法って? 

数平均分子量Mnを測定することのできる測定方法である。

特徴として、透過性の良い膜を用いたとき、短時間で測定できるが、低分子量成分の膜もれが起こりやすくなるが、逆に緻密性のよい膜を用いると、長時間測定にかかる。したがって、分子量分布の広い試料のMnの測定には向いていない。

蒸気圧浸透法って?

数平均分子量Mnを測定することのできる測定方法である。 

測定可能な分子量範囲は50程度から数万までである。

特徴として、任意の温度で測定でき、実験操作も容易で、少量の試料量で短時間で測定可能であるため、比較的分子量の低いポリマーにはよく使用される。

光散乱法って?

重量平均分子量Mwを測定することができる。

静的光散乱法と動的光散乱法の二種類があり、静的光散乱法では、ジムプロットという方法を用いる。

粘度法って?

粘度平均分子量Mvを測定できる。

毛細管粘度計を用いて測定するが、オストワルト型、キャノンフェンスケ型、ウベローデ型など種類がある。

ここで、平均分子量は、マーク・ホーウィンク・桜田の式から求まる。この式で、固有粘度=極限粘度数も求まる。

ガウス鎖では、Mn <Mv<Mwとなり、a=1で、Mv=Mwです。

単分散ポリマーでは、Mn =Mv=Mw

ゲル浸透クロマトグラフィーって?

原理は、カラムに充填された多孔性ゲルの逆ふるい効果により、サイズの大きい分子はゲル内に浸透せず、素通りするのに対し、サイズの小さい分子はゲル内に浸透し、溶出するのが遅くなり、大きい分子に比べ遅く出てくる。この大きい分子が先に溶出する原理を利用した測定法。

 Mn 、MwMzが測定できる。光散乱検出器を用いると、絶対分子量と平均二乗回転半径<S2>も求まる。

標準試料で、分子量と溶出体積から検量線を作成し、未知試料の溶出体積から、分子量に変換し、分子量とその強度から、算出できる。